こんにちは、
よしおです。
大林宣彦監督の訃報を聞いたのは、4月11日朝の報道番組だっただろうか?それともネットニュースだっただろうか?
僕は動転して、最初の一字だけ一緒の監督名前を口走って、娘に注意されたくらいです。
4月10日夜に世田谷区のご自宅で肺がんで亡くなりました。82歳でした。
しかも4月10日は、最新作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』の公開予定日でした。
ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で公開は延期になっていました。
『さびしんぼう』の思い出
僕の中学時代からの友人で、映画好きのやつがいました。ずっと大人になってからもつき合いが続いていましたが、ある時から、連絡を取り合うこともなくなりました。
理由はよくわかりません。
ただ、お互い独身時代、彼の部屋のよく映画を観たものです。
彼は特に大林監督の作品で、これいいよ、と言った、『HOUSE ハウス』『時をかける少女』『さびしんぼう』『異人たちとの夏』など、ビデオで見せてくれました。
その中で僕が特に印象に残っていたのが、『さびしんぼう』でした。
ショパンの『別れの曲』が効果的に使われていて、この曲を耳にするたびに映画の雰囲気を思い出したものです。
そう、思い出すのは雰囲気ばかりでどんなシーンだったかは、思い出せませんでした。
なんと言っても、映画を観たのは30年以上前の独身時代の時です。
そして、今回の大林監督の訃報に接し、続けて4つの作品を観ました。
『HOUSE ハウス』『時をかける少女』『さびしんぼう』『転校生』2007年版。
やはり、僕が一番感銘を受けたのが、『さびしんぼう』でした。
『さびしんぼう』意外なテーマ
『さびしんぼう』は、『転校生』『時をかける少女』に続く、大林宣彦監督の“尾道3部作”第3作です。
見どころは、監督の故郷・尾道を舞台に、思春期特有のときめきやロマンチシズムを描いた作品で、黒澤明監督からも絶賛されたといいます。
富田靖子が1人2役に挑み、みずみずしい演技を披露していて、その儚さにおもわず抱きしめたくなります。
写真が趣味の高校生・ヒロキ(尾美としのり)は、憧れの美少女・百合子(富田靖子)をレンズ越しに見つめ、「さびしんぼう」と呼んでいました。
※画像はイメージです。
ある日、実家の寺の本堂を掃除していた彼は、母の古い写真をばらまいてしまったのです。するとその日から、ピエロのような格好をした謎の少女が、ヒロキの前に現れるようになりました。
最初は、ヒロキにしか見えなかったのに、その内周りの人たちにも見えるようになりました。
その顔を白塗りしてピエロのような少女は、ヒロキの母親(藤田弓子)の誕生日が近づくとヒロキに別れを言いにきます。
そこから、ヒロキは、自分の名前の由来やなぜ、母親がショパンの『別れの曲』を弾かせるのか、その謎が分かって行きます。
初めて観た時の印象は、高校生の淡い恋愛をテーマにした青春映画と感じました。
しかし、今回久方ぶりに観て、それは全く表面的な観方で、本当のテーマは、意外なものだったと気づき、そして深い感銘を受けたのです。
まとめ
『さびしんぼう』の冒頭のシーンで、ヒロキのナレーションで、毎日口うるさく、勉強しろ、ピアノの練習しろ、という母親に対して、女性的な潤いもない、ガサツなおばさんというような表現をしています。
しかし、これが伏線だったのです。
そのあと、ハッと気づくのです。
この映画の主人公は、高校生のヒロキではなく、母親ではないか?と。
この映画を観ると、20年、30年連れ添ってきた妻に優しくなれると思います。
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本ページの情報は2020年5月時点のものです。
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