こんにちは、
ともやんです。
『空の大怪獣 ラドン』をU-NEXTで観た後、『パシフィック・リム』(2013年)を観ました。この映画は、巨大ロボットと怪獣たちの戦闘シーンが、これでもかと盛り込まれた作品でした。
映像としては、55年前に製作された『空の大怪獣 ラドン』は、リアルさにおいて『パシフィック・リム』には敵いません。
しかし、根底に流れる思想がはっきり違うのではないか、そしてその感銘の深さは、僕には全く違うものとして感じられました。
空の大怪獣 ラドン 共存の思想
怪獣映画でこの1958年に公開された『空の怪獣 ラドン』ほど、環境問題を考えさせられた映画はありません。
出だしの出演者同士の雑談にも地球温暖化の話題が出ていました。
60年以上前の映画です。
地球温暖化は、第二次大戦後の重要な課題なのです。
そしてラストの衝撃は、怪獣映画の中では、トップクラスの感動的なものです。
それを見守り人間たちにも、戦いに勝ったという喜びはなく、ずっと見つめている姿は素晴らしいエンディングとなっています。
54年の『ゴジラ』と共に、怪獣映画というよりドキュメンタリー性の高い、地球の乱開発に対する明確なメッセージと僕は捉えました。
炭鉱に現れた怪虫メガヌロンもそれを餌とするラドンも好きで現生に現れたわけではありません。もちろん人間に危害を与えるために現れたのではありません。
もともと彼らの住処に人間がやって来たのです。
しかもこの映画では、時代が交錯した状態でのことです。
そういう意味で環境の乱開発に対する強烈な批判のメッセージを僕は感じます。
空の大怪獣 ラドン あらすじ
1958年(昭和33年)10月14日封切、モノクロ、東宝パンスコープ、82分
製作:田中友幸
原作:黒沼健
監督:本多猪四郎
脚本:村田武雄、木村武
音楽:伊福部昭
特技監督:円谷英二
出演:佐原健二、白川由美、平田昭彦、村上冬樹、小堀明男、田島義文、三原秀夫
九州、阿蘇山付近の炭坑内で、古代のトンボの幼虫・メガヌロンとともに、巨大な翼竜・プテラノドン(ラドン)が現代に甦りました。
ラドンは福岡の市街地を蹂躙し、その被害の大きさから
防衛科学陣は、多数のミサイルによって、阿蘇山の噴火を誘発し、一挙にラドンを葬り去る作戦を準備するのでした。
特撮の見どころとしては、なんと言ってもラドンによる福岡市街地の破壊シーンです。このシーンの創造のため、特撮スタッフは4日間にわたって、現地福岡のロケハンに赴き、正確に採寸をした上で、東宝撮影所内の第8ステージ内に福岡の市街地を再現しました。
その縮尺は、基本的に1/25のサイズに設定されましたが、画面上で違和感が無いように、手前のミニチュアは、1/10や1/20サイズで遠近をつけ、その製作時間は1ヵ月以上もの時間を要したそうです。
本番の撮影では、ラドンの両翼から巻き起こす衝撃波によって破壊されるシーンを大型扇風機を使って見事に演出されています。
完成したシーンは、東宝特撮映画の中でも特に評価の高いものでした。
また、クライマックスのシーンでは、高さ10メートルのオープンセット上に溶岩に見立てた高熱の溶鉄を流し、上昇しようというラドンを撮影する予定でしたが、あまりの高熱でラドンを釣りあげていたピアノ線が切れてしまい、操作不能に陥ってしまったのです。
しかし、特技監督の円谷英二氏が、カットせずに撮影を続け、結果として感銘深いシーンとなりました。
このシーンからは、人間社会と共存できない、大型怪獣の悲哀がにじみ出ているのでした。
まとめ
『空の大怪獣 ラドン』が公開される2年前に衝撃的に登場した映画『ゴジラ』。そこには、明確な反戦、反核のメッセージを感じ取れることが出来ます。
そして、ラドンでは、人間の都合のよる乱開発を暗に批判するものです。また、民衆が細々と作り上げてきたものを一気に破壊してしまうという権力側の勝手な考え方もある意味批判しています。
阿蘇山にミサイルを打ち込んで噴火を誘発させようとする作戦に対して反対意見を封じ込めるシーンにそれが表れています。
ラドンを駆逐するという大義名分のもとで多くのものが失われたのではないか?果たして共存は出来なかったのか?
非常に考えさせられる作品でした。
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本ページの情報は2020年6月時点のものです。
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